ぽんぽんだより

愛知県長久手市での日常を綴っています。また、2021年7月 帝王切開瘢痕症候群と診断されました。その治療の過程も発信します。

帝王切開瘢痕症候群 診断までの記録②

帝王切開瘢痕症候群というのは、帝王切開の際に子宮の壁がうまく縫い合わされておらず瘢痕化した状態です。この傷跡に経血や帯下などを含む液体が溜まったり、場合によっては傷周辺の血管から出血したりして、それが不正出血としてあらわれます。
ですので、排卵期や生理前などおりものが増える時期は、いつもおりものに血が混じっている状態になります。また、経血が瘢痕部に溜まるため、その血が生理後にちょこちょこと出て来たりすることで、生理が長引いているような状態になります。結果的に、一か月の半分ほど不正出血に悩まされることになります。
次に不妊についてですが、上記のとおり、子宮内にずっと体液がジャブジャブしている状態なので、受精卵が子宮までたどり着いたとしても、着床できずに流されてしまいます。まれに、溜まっている体液が少なくなったタイミングで受精卵が到着し、着床がうまくいく場合もあるようですが、これは本当にまれな例なのだと思います。
もうひとつ問題となるのが、子宮壁の薄さです。前回の帝王切開で切り開いた部分がしっかりくっついていないのですから、その傷口部分は子宮壁が薄くなります。そのため、もし幸運がかさなって着床がうまくいったとしても、子宮破裂の危険性が高まるとのことです。ただ、これについては陣痛が起こる前までなら耐えられるという見解もあると聞きました。先生によって考え方が異なるようです。また、瘢痕があっても、それほど子宮壁が薄くなっていない例もあるそうです。
さらに危険なのが、その瘢痕部に受精卵が着床してしまうことです。こうなると、子宮はおろか母体さえも危険、とのことでした。ただこれは、帝王切開瘢痕症候群でなくとも起こりえるのかな?ちょっとわかりません。

このほかに、生理痛が以前よりも強くなったり、子宮周辺に圧痛を感じるなどという症状もあるそうです。

帝王切開を経験した人の約7%にこの症状がみられるとのことですが、帝王切開が増えている昨今、さらに増えていく可能性もあると思われます。
なぜこうなってしまうのかについても今はまだ明確ではないそうです。ただ、同じ執刀医の施術を受けても、瘢痕ができる人とできない人がいるため、傷の治りが遅いか早いかというような、体質の問題が大きいと言われています。
ですので、先に書いておきますが、長女の出産の際に帝王切開術をしていただいた先生に対して恨みに思っているというようなことは決してありません。


わたしの場合、帝王切開瘢痕症候群と診断されるまでの経緯は以下のようなものでした。

2017年4月頃 産後の生理が再開 この時はじめて中間期出血(排卵出血)を経験しました
2019年9月頃 第二子妊活開始 このころの排卵期や生理の様子などは覚えていませんが、排卵出血はもう見慣れてしまっていたように思います。
2019年11月  6週前後で不全流産(掻把手術) エコーでは胎嚢は確認できませんでしたが、ちゃんと出てきてくれました。術後の検診では「子宮はきれいな状態です」と言われました。長女を出産したのと同じ尾張旭市のIクリニックでした。
2020年1月  第二子妊活再開
2020年4月  あらためて排卵期出血が気になり始め、クリニック(出産・掻把手術をしたところとは違うクリニック)を受診。ホルモンの数値は悪くなく、内膜も少し薄いが良好。出血は排卵期のホルモンバランスの乱れによるものであるから心配ないでしょうとの診断。
2020年7月  妊活再開から半年、妊娠しないこととやはり不正出血が気になり、長久手市にあるまた別のMクリニックを受診。不正出血は排卵期のホルモンバランスによるもの、しかし帝王切開の痕が異様にざっくり残っているのが気になると言われました。帝王切開瘢痕症候群という名前は出ず、「こんなに深く切る必要ある?」とおっしゃったので、帝王切開の手法に問題ありと考えられたようです。妊娠そのものには影響はないけれど、この子宮壁の薄さでは妊娠してほしくない、超ハイリスク妊婦になりますよ、と言われました。
2021年1月  このころから、生理の出血がやたらと長引いていることに気づきました。やはり妊娠しないため、あらためて長女を出産したIクリニックを受診。ホルモン検査、卵管造影検査、クロミッド処方、HCG注射等、タイミング療法を一通り受けました。このとき、排卵出血のことや生理の出血が長引くことも相談しましたが、「子宮はきれいなので、ホルモンバランスの乱れでしょう」との診断でした。
2021年6月  Mクリニックで言われた帝王切開の跡のことが気になり、また、ホルモン療法では埒があかないような気がして、名古屋市名東区にあるあいこ女性クリニックを受診しました。
こちらの牧野先生の診察により、いとも簡単に「帝王切開瘢痕症候群です」との診断が下されました。そして、子宮内に体液が溜まっているので不正出血の原因はこれですともはっきり言っていただけました。血液検査もしていないのでホルモンバランスがどうなっているかはわからないし、もしかしたらホルモンバランスの乱れによる出血や不妊もあるかもしれないけれど、主要因はこの貯留液ですとのこと。
そして、帝王切開瘢痕症候群の治療については名古屋市立大学付属病院に行ってもらうしかないとのことで、すぐに紹介状を発行してくださいました。
2021年7月 名市大病院にてあらためて帝王切開瘢痕症候群との診断。MRI検査にて子宮内の貯留液、子宮壁の菲薄化を確認。このまま妊娠できたとしても子宮破裂の危険を伴う。ただし、陣痛が起こらない限りは破裂はしないため、よく管理すれば妊娠継続に問題なしと考える先生もいる。先生によって考え方が異なるため、大事を取って妊娠は諦めていただくほうが安全。妊娠を望むのであれば再縫合の手術を受けるという方法があるという説明を受けました。
そして2021年8月 名市大病院と提携している東部医療センターを受診予定です。


不妊で悩むのであれば、早いうちに不妊専門のクリニックに行った方が良いとは聞いていました。わたしももっと早くにそうしておくべきだったと思っています。
排卵期や生理前というのはそもそもホルモンバランスの関係で少量の出血は見られがちです。また、生理後に少量の出血が続くというのも、ちょっと残っていたのかな?くらいで済まされがちです。ですので、帝王切開瘢痕症候群による出血であっても、見逃されてしまいます。また、帝王切開瘢痕症候群という疾患は産婦人科学会でもまだ症例がそうたくさんあるわけではなく、学会に出席して勉強をしている先生の中ではかなり認知されてきているけれど、知らないままの先生も多いのだそうです。
妊婦さんを診るときももちろんですが、産婦人科として高度でなくとも不妊治療を看板のひとつに掲げるのであれば、新しい症例の勉強くらいはしておいていただきたいというのが正直なところですが、分娩に携わっている先生方はお忙しいので仕方がないのでしょう。

ちなみに、帝王切開瘢痕症候群の手術というのはまだ医療として認められておらず、研究段階であるため、保険適用外とのことでした。そのため高額医療費の対象にもなりません。
こればもしかすると、わたしはほかの疾患がないからかもしれません。帝王切開瘢痕症候群の手術をした方のブログを拝見すると、保険適用・高額医療費の対象になったという方もいらっしゃって、これはわたしの想像にすぎませんが、他の疾患があってその治療とともに再縫合という方法もあるのかもしれません。(追記:子宮内膜からの出欠であることから、「子宮内膜症」扱いで保険適用で手術しているお医者さんもいるとのことでした。)

たくさん研究を重ねて、帝王切開瘢痕症候群に対して手術を行うことが有効な治療法であるということが確立されれば、保険適用が認められるようになるそうです。帝王切開で出産される妊婦さんが増えている昨今、早く認められてくれたらいいなあと思います。

次回、帝王切開瘢痕症候群についてのポストは、東部医療センターで診察を受けてから、手術等の治療方針について書きたいと思います。